【2024最新】共同生活援助(障害者グループホーム)開業の手順とは!?失敗しないためのポイントも解説!
共同生活援助(障害者グループホーム)を開業したいけど、何から始めたらいいかわからない。資金はどれくらいあればいい?そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、共同生活援助(障害者グループホーム)の開業方法や開業資金について、業界の動向や失敗しないためのポイントをお伝えします。これから共同生活援助での開業を考えているという方はぜひ参考にしてみて下さい。
共同生活援助(障害者グループホーム)とは?
共同生活援助(障害者グループホーム)は、国が指定する障害福祉サービスの一つ※で、障害のある方が地域で安心して暮らしていけるような支援を提供しながら、共同生活を営む場となります。
共同生活援助では、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の必要な日常生活上の援助を行います。また、介護サービス包括型、外部サービス利用型、日中サービス支援型の3つのタイプがあります。
開業には、国の指定を満たすために人員配置や物件の基準を満たし、申請を行う必要がありますが、サービスの提供にあたり、国からの報酬を受け取りながら安定的な経営を行うことができます。
参考:厚生労働省「障害福祉サービスについて」
共同生活援助開業の流れ
共同生活援助を開業するにはどういった流れで取り組んでいけばいいのでしょうか。ここでは、共同生活援助開業までの流れを解説します。
➀自治体への相談(開業予定日から6か月前)
開業を考えたらやることは自治体に相談することです。役所の障害福祉課などにいくと、開業の相談にのってくれます。障害福祉サービスの指定申請の承認を行うのは、自治体の許可を取る必要がありますが、自治体によっては、グループホームの開業を制限していたり、事前説明会への参加を義務としている自治体もあります。
相談なしに準備を進めると、最悪開業できない可能性もあります。開業を検討する場合は、まずはじめに自治体へ相談しにいくようにしましょう。
➁法人設立(開業予定日から5か月前)
共同生活援助を開業するにあたって、必ず必要なのが法人です。法人とは、株式会社やNPO法人といった法人格をもった団体となります。
法人は種類によっても取得方法や費用、特徴が違いますので、自身のやりたい事業に合わせた形態を選択しましょう。
また、すでに法人を設立してある場合でも、定款に福祉事業についての規定がないと開業できないため、定款を行う必要があります。
グループホームが開業できるおすすめの法人
- 合同会社・・10~30万円ほどで設立可能。設立が比較的容易で、代表は一人でも設立できる。
- 株式会社・・20万円~50万円程度の費用が必要。一人でも設立可能だが、合同会社よりも手続きは複雑
- 一般社団法人・・設立費用は10万円~50万円で寄付金控除などの税制優遇がある。二人以上の理事が必要
- NPO法人・・設立費用0円~設立可能で一定の要件を満たせば非課税だが、理事が10人必要
➂事前説明会への参加(開業予定日から4か月前)
自治体によっては、事前説明会への参加が必要な場合があります。また必要と指定されていない場合でも、説明会がある場合は、参加をしておくといいでしょう。指定については、自治体単位となるため、説明会に参加することで、自治体独自の情報を得ることができます。
④物件探し(開業予定日から4か月前)
自治体への相談後、申請ができる状況だとわかったら、物件を探します。ただし、物件はどんな物件でもいいというわけではなく、建築基準法、消防法や障害者総合支援法の基準を満たしたものである必要があります。設置基準は、グループホームの種類によっても異なり、自治体によって指定がある可能性もあるので、必ず自治体へ確認のうえ物件探しを行いましょう。
設置基準例
- 消火器の設置
- スプリンクラーの設置
- 火災通報装置の設置
- 誘導灯の設置
- ユニットの居室面積:収納設備等を除き、7.43平方メートル以上
➃求人応募(開業予定日から4か月前)
物件探しと並行して、求人募集も行います。グループホームにおいては、指定された人員をホームに配置する必要があります。いわゆるオーナーである管理者には、資格は必要ありませんが、サービス管理責任者の資格をもった人員や世話人等を配置する必要があります。
グループホームに必要な人員配置(介護サービス包括型・外部サービス利用型)
世話人 | 常勤換算で、利用者数を6で除した数以上 |
生活支援員 | 常勤換算で、次の(1)から(4)までに掲げる数の合計数以上 (1) 障害支援区分3に該当する利用者の数を9で除した数 (2) 障害支援区分4に該当する利用者の数を6で除した数 (3) 障害支援区分5に該当する利用者の数を4で除した数 (4) 障害支援区分6に該当する利用者の数を2.5で除した数 ※外部サービス利用型共同生活援助の場合は配置基準の適用なし |
サービス管理 責任者 | ・利用者数が30人以下:1人以上 ・利用者数が31人以上:1人に、利用者数が30人を超えて30又はその端数を 増すごとに1人を加えて得た数以上 |
管理者 | 常勤で、かつ、原則として管理業務に従事するもの(管理業務に支障がない 場合は他の職務の兼務可) |
グループホームに必要な人員配置(日中サービス支援型)
世話人 | 常勤換算で、利用者数を5で除した数以上 |
生活支援員 | 常勤換算で、次の(1)から(4)までに掲げる数の合計数以上 (1) 障害支援区分3に該当する利用者の数を9で除した数 (2) 障害支援区分4に該当する利用者の数を6で除した数 (3) 障害支援区分5に該当する利用者の数を4で除した数 (4) 障害支援区分6に該当する利用者の数を2.5で除した数 |
夜間支援 従事者 | 夜間及び深夜の時間帯を通じて1以上 ※夜間支援従事者とは夜間及び深夜の時間帯に勤務(宿直勤務を除く。) を行う世話人又は生活支援員をいう。 |
サービス管理 責任者 | ・利用者数が30人以下:1人以上 ・利用者数が31人以上:1人に、利用者数が30人を超えて30又はその端数を 増すごとに1人を加えて得た数以上 |
管理者 | 常勤で、かつ、原則として管理業務に従事するもの(管理業務に支障がない 場合は他の職務の兼務可) |
⑤指定申請(開業予定日より三ヵ月前)
お概ね開業予定日の三ヵ月前程度が指定申請書類の提出日となります。申請書類は非常に多くの書類があり、また自治体によっても様式等がことなりますので、かならず自治体に様式や書類の種類を確認のうえ、書類を準備しましょう。
書類は膨大な数が必要です。また不備があればやり直しとなり、その分開業が遅れます。物件を契約していれば家賃が発生し、職員の人件費といったコストがかかります。書類作成が慣れていない場合は、専門家に相談することも検討しましょう。
申請に必要な書類の例
- 指定申請書
- 付表
- 位置図、住宅地図
- 平面図
- 人員に関する添付資料
- 運営規定
- 事業計画書
- 役員等名簿
⑥現地調査
指定申請書を提出後、自治体による現地調査が行われます(自治体や状況によってはない場合もあります)。現地調査では、申請書の内容が実際に正しいのか、事業所を訪問の上確認が行われます。
不備があれば、当然書類の修正や、法令等に合わせ施設を整備するといった対応が必要となります。
⑦指定通知
無事に指定申請書類の審査が完了すると、指定通知を受けることができます。指定通知を受ければ、はれて事業所を開業してスタートとなります。
共同生活援助開業に必要な費用は
共同生活援助事業所を開業する上で考えなくていけないのは費用面です。ここでは、複数のFC事業者やウェブサイト、実際に開業している方からの話を参考に、開業費について解説します。
法人設立費用
法人を設立していない場合は、設立費用が必要です。法人にも様々な形態がありますが、合同会社や一般社団法人であれば、自分で手続きをすれば15万円程度で設立できます。
物件費用
グループホームをやるうえで、物件はかならず必要となります。また、物件については、設備要件等を満たす物件を選びましょう。多くの方が賃貸にてスタートすることになるかと思います。物件の費用については、敷金、礼金、仲介手数料が必要です。家賃15万円前後の物件だと仮定すると80万円程度の初期費用が必要です。
内装費
物件取得後は、共同生活援助用に内装を整える必要があります。物件やどれくらいこだわるかにもよりますが、おおむね50万円程度用意しておけば、一通りの内装はできると思います。
設備・備品費用
グループホームには、消防設備だったり、利用者さんが快適に過ごすための居室の備品など、様々な設備が必要です。また、その他職員のための備品等も用意する必要があります。部屋数にもよりますが、100万円程度をみておくといいでしょう。
運転資金
障害者グループホームの場合は、運営してすぐに報酬が入るわけではなく、2ヶ月程度のタイムラグがあります。また開業しても利用者さんが集まらなければ当然収入は入りません。しかし、その間も人件費や家賃といった費用はかかってきます。
そのため、報酬が入るまでの間の運転資金を用意しておく必要があります。運転資金は、だいたい半年程度用意しておくことを推奨しています。毎月の人件費を60万円、家賃を15万円で6ヵ月分となると450万円程度の運転資金を用意しておく必要があります。
必要な費用の合計は?
必要な費用を計算してみましょう。
法人設立費用(15万円)+物件費用(80万円)+内装費(50万円)+設備・備品費用(100万円)+運転資金(450万円)=705万円 となりました。
ただし、これらの費用はグループホームの規模や立地などによって大きく変動します。資金は余裕があるにこしたことはないので、あらかじめ地域ごとの相場などもしらべたうえで準備を進めることをお勧めします。
共同生活援助の経営とは
共同生活援助を経営していくうえで、どれくらい利益をだせるか気になりますよね。共同生活援助の収入のほぼ9割は、国からの給付金となります。
そしてその給付金がどれくらい支給されるかは、何年かおきに報酬改定という形で変更されるため、場合によっては利益を上げるのが難しくなる場合もあります。そのため、しっかりと計画性をもって、経営計画を考える必要があります。
共同生活援助の経営実態は
共同生活援助の経営を考えるうえで気になるのが、利益率や経営実態ですよね。2021年度のwamnetの調査では、約4割が赤字となっています。
共同生活援助の利益率は
また、厚生労働省の調査では、令和3年度の共同生活援助の利益率(収支差率)は、平均で約10%となっており、対前年比率で132.6%と増加傾向にあります。
共同生活援助は、赤字になってしまう事業所もありますが、黒字にできれば、かなり高い利益を確保できる可能性があることがわかります。
共同生活援助を運営を成功させるポイントとは
せっかくグループホームを運営するなら、黒字にしたいですよね。そこでここでは、運営を成功させるためのポイントをお伝えします
シミュレーションをしっかりと行う
共同生活援助は、他の福祉サービスと比べても、定員や人員配置の幅が大きいです。そのため、利用者さんの数が予想からずれたりすると、収支バランスを保つのが難しくなります。
共同生活援助を開業する際は、競合調査をしっかりと行ったり、ニーズを地域の関係者に伺うなど事前調査を行い、できるだけ正確なシミュレーションを行うようにしましょう。
地域に合ったサービス形態を選択する
共同生活援助の場合は、サービス形態が、「介護サービス包括型」、「外部サービス利用型」、「日中サービス支援型」と3つあり、選択によって運営方法や収益は全く異なるものとなります。そのため、地域にあったサービス形態を選択することが大切です。
加算を獲得する
共同生活援助に限らずの話ですが、福祉サービスでは、基本報酬だけでは黒字にすることは難しく、いかに効率よく加算を獲得するかが大事です。人員を抑えたうえで、質がいいサービスを提供し、もれなく加算を獲得することで、スリムで利益率が高い事業所運営が可能となります。
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本記事では、共同生活援助の開業方法、流れや費用、運営のポイントについてまとめました。また、当サイトでは開業に関する相談も受け付けております。共同生活援助の開業に興味があるという方は、お気軽にお声かけ下さい。
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