【2024年最新版】障害福祉業界について【市場規模から将来性まで徹底解説】
障害福祉業界について解説します。
この記事で分かること
・障害福祉業界の概要、市場規模が分かります
・障害福祉サービスの種類と事業所数が分かります
・障害福祉業界の将来性が分かります
・報酬改定、受給者証、事業所について解説します
障害福祉業界の概要、市場規模
障害福祉業界とは
障がいを持つ人々やその家族に対して支援やサービスを提供するための専門の分野です。
この業界は
・社会的な包摂や平等な機会の提供
・個々のニーズに応じたサポート
・障がいを持つ人々が社会で充実した生活を送るための仕組みを構築
によって成り立ちます。
以下は、障害福祉業界に関連する主要なポイントです。
法的フレームワーク
各国には、障害者権利に関する法律や規制が存在し、障害者の権利を保護しています。
各種法令に基づいて、障がい者が差別されずに十分な支援を受けられるように努められています。
福祉機関と団体
障害福祉業界には、国や地域の福祉省、自治体の社会福祉事務所などの公的機関が関与しています。
同時に、非営利団体やボランティア団体も重要な役割を果たしています。
専門家の役割
障害福祉業界には、さまざまな専門職が関与しています。
例えば、社会福祉士、精神保健専門家、リハビリテーション専門家などが含まれます。
ホームケアと施設ケア
障がい者向けのサービスは、自宅でのケアから施設でのケアまでさまざまです。自立支援や共同生活援助などのプログラムが提供されています。
技術の進展
最新の技術やモバイルアプリケーションが、障がい者の生活を支援するために利用されています。
これには、コミュニケーション支援技術やアクセシビリティ向上のためのツールが含まれます。
課題と課題への対応
資金不足や人材不足など、障害福祉業界もさまざまな課題に直面しています。
地域コミュニティとの連携や効果的な政策の実施が求められています。
障害福祉業界の市場規模
障害福祉業界は、総費用額が約3兆円の市場規模です。
参考として、介護は約11兆円、保育・幼児教育は約4兆円と言われています。
また、メイク用品などの化粧品業界や、衣服やブランド品のリユース業界も同じ3兆円規模の市場を持つと言われています。
思ったより多いな?と感じた方もいらっしゃると思います。
このうち、9割以上は行政(国や地方自治体)が負担しているためです。
10年で2倍以上になったため、
「サービスの利便性」と「国費(予算)の削減」がトレードオフの関係であり、
医療・福祉・介護業界に特有の「報酬改定」で方向性が決定されます。
例えば、児童系サービスの「放課後等デイサービス」は2012年に制度が変わり、
報酬を高く設定することで、利益を上げやすくしたことで、民間企業が相次いで参入しました。
しかし、2018年頃には飽和状態となり、報酬を下げ、ルールを厳格化することで、
新規参入にブレーキを掛けました。
いわゆる「行政の梯子外し」とも言われますが、
利益のみを追従した結果、不正が相次いだことも報酬の減少に繋がっています。
上の図は、弊事務所が作成・加工したものです。
厚生労働省発表の資料は以下です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36399.html
障害福祉サービスの対象者
下の図は、障害福祉サービスを受けることが出来る人口を表したものです。
現在、1257万人が障害福祉サービスを受けることが出来ると言われています。
人口の約1割が潜在的な顧客であることを考えると、
多くの人の生活の役に立つことが出来るので障害福祉業界です。
障害福祉サービスの種類
サービスは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)
を踏まえ、個別に支給決定が行われる
「障害福祉サービス」
と、市町村の創意工夫により、利用者の方々の状況に応じて柔軟に実施できる
「地域生活支援事業」
に大別されます。
「障害福祉サービス」は、
介護の支援を受ける場合には「介護給付」
訓練等の支援を受ける場合は「訓練等給付」
に位置付けられ、それぞれ、利用の際のプロセスが異なります。
サービスには期限のあるものと、期限のないものがありますが、
有期限であっても、必要に応じて支給決定の更新(延長)は一定程度、
可能となります。
訪問系
居宅介護…訪問での家事・生活支援サービス
2021年の事業所数…24462ヶ所
居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の
家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行います。
重度訪問介護…重度・重複の方の生活支援サービス
2021年の事業所数…21802ヶ所
重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により
行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要するものにつき、
居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事
並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに
外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、
病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を行います。
(日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援を含む。)
同行援護…視覚障害をお持ちの方の外出支援
2021年の事業所数…8255ヶ所
視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、
外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、
移動の援護その他の当該障害者等が外出する際の必要な援助を行います。
行動援護…重度・重複障害をお持ちの方の外出支援
2021年の事業所数…2694ヶ所
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって
常時介護を要するものにつき、当該障害者等が行動する際に生じ得る危険を回避するために必要な援護、
外出時における移動中の介護、排せつ及び食事等の介護
その他の当該障害者等が行動する際の必要な援助を行います。
重度障害者等包括支援…自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援、外出支援
2021年の事業所数…20ヶ所
常時介護を要する障害者等であって、意思疎通を図ることに著しい支障があるもののうち、
四肢の麻痺及び寝たきりの状態にあるもの並びに
知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有するものにつき、
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、
自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助
及び共同生活援助を包括的に提供します。
日中活動系
療養介護…医療的なケアが必要な方への支援・サービス
2021年の事業所数…246ヶ所
病院において機能訓練、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護、
日常生活上の世話その他必要な医療を要する障害者であって常時介護を要するものにつき、
主として昼間において、病院において行われる機能訓練、療養上の管理、
看護、医学的管理の下における介護及び日常生活上の世話を行います。
また、療養介護のうち医療に係るものを療養介護医療として提供します。
生活介護…比較的、重い障害をお持ちの方への支援・サービス
2021年の事業所数…9056ヶ所
障害者支援施設その他の以下に掲げる便宜を適切に供与することができる施設において、
入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供
その他必要な援助を要する障害者であって、常時介護を要するものにつき、
主として昼間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯
及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言
その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供
その他の身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援を行います。
短期入所(ショートステイ)…数週間~の共同生活支援・サービス
2021年の事業所数…7057ヶ所
居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、
障害者支援施設、児童福祉施設等への短期間の入所を必要とする障害者等につき、
当該施設に短期間の入所をさせて、入浴、排せつ及び食事の介護その他の必要な支援を行います。
施設系
施設入所支援
施設に入所する障害者につき、主として夜間において、
入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言
その他の必要な日常生活上の支援を行います。
訓練系
自立訓練(機能訓練)…リハビリを中心とした就労支援
2021年の事業所数…403ヶ所
障害者につき、障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所
に通わせて当該障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所において、
又は当該障害者の居宅を訪問して、理学療法、作業療法
その他必要なリハビリテーション、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援を行います。
自立訓練(生活訓練)…日常生活を送るための訓練・就労支援
2021年の事業所数…1491ヶ所
障害者につき、障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所
に通わせて当該障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所において、
又は当該障害者の居宅を訪問して、入浴、排せつ及び食事等に関する
自立した日常生活を営むために必要な訓練、生活等に関する相談及び助言
その他の必要な支援を行います。
宿泊型自立訓練
2021年の事業所数…225ヶ所
障害者につき、居室その他の設備を利用させるとともに、
家事等の日常生活能力を向上させるための支援、生活等
に関する相談及び助言その他の必要な支援を行います。
就労系
就労移行支援…就労に向けた支援
2021年の事業所数…3353ヶ所
就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と
見込まれるものにつき、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供
その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、
求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために
必要な相談その他の必要な支援を行います。
就労継続支援A型(雇用型)…事業所が雇用しての支援
2021年の事業所数…4130ヶ所
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち適切な支援により雇用契約等に基づき就労する者につき、
生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
就労継続支援B型(非雇用型)…事業所が雇用しない形での就労支援
2021年の事業所数…14407ヶ所
通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち通常の事業所に
雇用されていた障害者であってその年齢、心身の状態その他の事情により
引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても
通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他の通常の事業所に雇用
されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他
の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。
就労定着支援…就労後の支援・サービス
2021年の事業所数…1522ヶ所
生活介護、自立訓練、就労移行支援
又は就労継続支援(以下「就労移行支援等」という。)を利用して、
通常の事業所に新たに雇用された障害者の就労の継続を図るため、
企業、障害福祉サービス事業者、医療機関等との連絡調整を行うとともに、
雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での
各般の問題に関する相談、指導及び助言等の必要な支援を行います。
居住支援系
自立生活援助
2021年の事業所数…395ヶ所
居宅において単身等で生活する障害者につき、
定期的な巡回訪問又は随時通報を受けて行う訪問、相談対応等により、
居宅における自立した日常生活を営む上での各般の問題を把握し、
必要な情報の提供及び助言並びに相談、関係機関との連絡調整等の
自立した日常生活を営むために必要な援助を行います。
共同生活援助(グループホーム)…シェアハウスやアパートでの生活支援
2021年の事業所数…11056ヶ所
障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において
行われる相談、入浴、排せつ又は食事の介護
その他の必要な日常生活上の援助を行います。
障害福祉業界の将来性
障害福祉業界は主に以下のような課題があります。
・急増した精神障害者への支援
・国費(予算)の削減
・就労への支援
・家族や地域への支援
・採用難(低賃金)
しかし、
・SNS等での当事者の発信の増加
・AIには代替出来ない職業である
というメリットもあります。
そして、「ワークライフバランス」や、「興味関心を優先した職業選択」
などの現代的な価値観との相乗効果を狙い、
賃金の向上を目指しています。
報酬改定とは
障害福祉業界は、
3年に1度、報酬の増減が変更されます。
これを「報酬改定」と言います。
サービスも大きく影響を受けるため、
早目に情報を収集することで、
健全な経営・運営をすることが出来ます。
報酬改定は、何度も会議が重ねられますが、
その中でも収支差率が重要な指標になります。
令和5年は「5.3%」でした。
この基準より高いか低いかが、報酬改定に影響してきます。
受給者証とは
受給者証を取得する大まかな流れ
・市区町村の役所の担当の窓口に申請する(分からない場合は総合窓口へ)
・相談支援事業所でサービス利用計画を作成する
・受給者証が発行される
以下の記事で詳しく解説しています。
事業所とは
いわゆる「施設」と似たような言い方です。
FCなどでは、「店舗」と表現することもありますが、
個別の障害福祉サービス事業者を「事業所」と表現しています。
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