【最新版】児童発達支援・放課後等デイサービスで利益を上げる方法とは!?収益モデルで解説!
児発・放デイを運営するにあたって、福祉事業であっても収支を安定させることは必須条件です。
新規参入を考えている方の中にも、儲かるのかどうか、利益がどのくらい出せるのかと気にしている方も多いかと思います。
本記事では、実際の収益モデルを用いながら、売り上げや利益率の考え方など、児童発達支援、放課後等デイサービスにおいて、利益を上げ安定した経営をしていくためのポイントをお伝えします。
児童発達支援・放課後等デイサービスの利益率は?
児童発達支援、放課後等デイサービスの利益率について、令和5年11月の「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」(令和4年度決算)を元に解説していきます。調査によると、児童発達支援、および放課後等デイサービスの(収支差率)利益率は、共に平均で5.8%となっています。
施設名 | 収支差率(利益率) |
---|---|
児童発達支援 | 5.8% |
放課後等デイサービス | 5.8% |
利益率にはかなりのばらつきがある
ただし、こちらはあくまでも平均した利益率であり、実際の収支差率にはかなりのばらつきがあります。そのため、しっかりとコスト意識を持ち、良いサービスを提供しないと安定した経営は難しいことがわかると思います。
wamネットよりだされた資料によると、放課後等デイサービスは約45%、児童発達支援は20%の事業所が赤字となっています。
放課後等デイサービス収支差率の分布
放課後等デイサービスの場合、分布として最も多いのは、25~30%ですが、一部事業所では、-60~-55%と大幅な赤字になっている事業所もあります。
児童発達支援収支差率の分布
児童発達支援の場合は、分布として最も多いのは、10~15%ですが、-85~-80%とかなりの赤字を出している層にもボリュームがあります。
放課後デイサービスの収支の内訳は
では、実際の放課後等デイサービスにおいて収支の内訳はどうなっているのか、引き続き同資料を基にみていきましょう。
施設当たりの収入
収入については、自立支援費が9割を占めています。
項目 | 金額(円) | 割合 |
---|---|---|
(1)自立支援費等・措置費・運営費収入 | 29,677,000 | 93.9% |
(2)利用料収入 | 1,019,000 | 3.2% |
(3)補助事業等収入 | 172,000 | 0.5% |
(4)その他 | 62,400 | 2% |
施設当たりの支出
続いて、1施設あたりの支出の内訳をみてみましょう。支出は給与が約6割を占め、残りの家賃等が26%を占めています。
項目 | 金額(円) | 割合 |
---|---|---|
(1)給与費 | 20,351,000 | 64.4% |
(2)減価償却費 | 577,000 | 1.8% |
(3)委託費 | 102,000 | 0.3% |
(4)その他 | 8,431,000 | 26.7% |
(5)国庫補助金等特別積立金取崩額 | -33,000 | -0.1% |
施設あたりの定員・定員あたりの収入、職員数
続いて施設あたりの定員数や定員あたりの収入、支出、職員数です。定員では、10名、また職員数は5名が平均となっています。
1事業所あたりの定員数 | 10名 |
定員あたりの収入 | 3,019,000 |
定員あたりの支出 | 2,844,000 |
1事業所あたりの職員数 | 5名 |
サービス換算職員数あたり給与費 | 4,048,000 |
児童発達支援の収支の内訳は
続いて、児童発達支援の収支の内訳をみていきましょう。
施設あたりの収入
こちらも、収入は自立支援費等がほとんどとなっています。
項目 | 金額(円) | 割合 |
---|---|---|
(1)自立支援費等・措置費・運営費収入 | 35,650,000 | 91.3% |
(2)利用料収入 | 1,194,000 | 3.1% |
(3)補助事業等収入 | 362,000 | 0.9% |
(4)その他 | 1,499,000 | 3.8% |
施設当たりの支出
児童発達支援については、人件費の割合が7割となっています。
項目 | 金額(円) | 割合 |
---|---|---|
(1)給与費 | 27,789,00 | 71.2% |
(2)減価償却費 | 11,68,000 | 3.0% |
(3)委託費 | 973,00 | 2.5% |
(4)その他 | 5,872,000 | 26.7% |
(5)国庫補助金等特別積立金取崩額 | -314,000 | -0.8% |
1施設あたりの定員・定員あたりの収入、職員数
施設あたりの定員数は、18名と児童発達支援の方が多くなっており、職員数も多くなっていますが、定員あたりの収入は低めとなっています。
1事業所あたりの定員数 | 18名 |
定員あたりの収入 | 2,210,000 |
定員あたりの支出 | 2,215,000 |
1事業所あたりの職員数 | 7.1名 |
サービス換算職員数あたり給与費 | 3,919,000 |
放課後等デイサービス・児童発達支援の収益モデル
ここでは、実際に収益モデルを用いて、利益率を計算してみす。(減価償却費等は計算せず、純粋な一ヶ月のキャッシュフローを計算します。)
また、厚生労働省のデータを元に、放課後等デイサービスについて平均的な営業形態に合わせて計算しています。
収入モデル
基本報酬は区分1、営業日数は23日、加算については、児童指導員等加配加算(理学療法士等)、児童指導員等加配加算(児童指導員等)、専門的支援加算(理学療法士)、専門的支援加算(保育士)、福祉専門職等配置加算、欠席時対応加算として月間の収入モデルを出してみました。
項目 | 単位 | 円 | 人数(回数) | 日数(回数) | 合計 | 総単位数 |
---|---|---|---|---|---|---|
基本報酬(区分1)放課後 | 604 | 10 | 10 | 19 | 1,147,600 | 11476 |
基本報酬(区分1)休業日 | 721 | 10 | 10 | 4 | 288,400 | 2884 |
加算・利用料 | ||||||
児童指導員等加配加算(理学療法士等) | 187 | 10 | ー | 23 | 43,010 | 4301 |
児童指導員等加配加算(児童指導員等) | 123 | 10 | ー | 23 | 28,290 | 2829 |
専門的支援加算(理学療法士) | 187 | 10 | ー | 23 | 43,010 | 4301 |
専門的支援加算(保育士) | 187 | 10 | ー | 23 | 43,010 | 4301 |
福祉専門職等配置加算 | 15 | 10 | ー | 23 | 3,450 | 345 |
欠席時対応加算 | 94 | 10 | ー | 1 | 940 | 94 |
利用料 | ― | 4600 | 15 | 1 | 69,000 | ー |
小計 | ー | ー | ー | ー | 1,666,710 | ー |
処遇改善加算Ⅰ | ー | ー | ー | ー | 140,004 | ー |
特定処遇改善加算Ⅰ | ー | ー | ー | ー | 21,667 | ー |
合計 | 1,828,381 | ー |
定員10名で23日営業した場合、月間の売り上げは約180万円ほどとなりました。基本報酬の割合は約8割、その他加算、処遇改善加算、利用料で約2割となっています。
支出モデル
続いて支出を計算してみましょう。支出については、従業員は管理者が児童発達支援責任者を兼任、常勤が二人、非常勤二人というモデルで計算を行いました。
項目 | 金額 | 健康保険 | 厚生年金 | 雇用保険 |
---|---|---|---|---|
管理者・児童発達支援管理責任者 | 400000 | 20,500 | 37,515 | 240 |
児童指導員(常勤) | 219413 | 11,000 | 20,130 | 132 |
保育士(常勤) | 221369 | 11,000 | 20,130 | 133 |
児童指導員(非常勤) | 85298 | |||
保育士(非常勤) | 80267 | |||
家賃 | 220000 | |||
水道光熱費 | 50000 | |||
雑費 | 50000 | |||
小計 | 1326347 | 42,500 | 77,775 | 504 |
合計 | 1,447,126 |
支出は、約8割が人件費、家賃が1.5割となっており、人件費と家賃でほとんどをしめています。
収益モデルから計算した放課後デイサービスの収支
これまでの収支から、収益を計算してみましょう。
1,828,381円(収入)-1,447,126円(支出)=381,255円(税引き前利益)
収支率
381255÷1828381=0.20852
税引前利益は、20%となりました。20%というとかなり多くみえますが、定員に対して全員が欠席せず、また職員については、管理者と児童発達支援管理責任者を兼務していることを想定しています。
複数事業所を運営している場合なら、それぞれ専任でも利益をだせると思いますが、一事業所のみの運営だと、兼務を活用した上で加算もしっかりとっていかないとかなり厳しくなってきます。
今回は放課後等デイサービスでの計算となりましたが、児童発達支援についても考え方は同じで、営業日数や加算、費用をもとに参考に計算してみていただければと思います。
放課後等デイサービス・児童発達支援で利益をあげていくポイントは?
これまで放課後等デイサービス、および児童発達支援について、実際の収益をみてきました。ここからは、様々なデータや当事務所の経験から、利益をあげていくためのポイントを4つ紹介したいと思います。赤字でなかなか収益が出せないという事業所は、ぜひこれからあげるポイントを参考にしてみて下さい。
1.兼務を活用する
収益モデルにおいては、児童発達支援管理責任者と管理者が兼務することを想定しています。モデルでは税引前利益が38万円となっていましたが、これを別々にするとなると、利益をあげることはかなり難しくなります。
もし可能であれば、事業所が一件しかないという場合は、1事業所で高い利益をださなくてはいけませんので、可能な役職はできるだけ兼務して取り組まれることをお勧めします。
2.加算を取得する
収益モデルでは、人件費と基本報酬がほぼ同じ金額になっています。物件が自前であり、家賃が掛からないならいいかもしれませんが、普通に営業しているだけでは、なかなか利益を上げることができません。
安定して高い利益を確保するためには、加算をとらなくてはかなり厳しくなっています。処遇改善加算や児童指導員等加配加算など、他の事業所が取得している加算は積極的に取得するようにしましょう。
3.登録人数を多めに確保する
収益モデルでは、利用者10名の定員を想定して計算しています。しかし、一人減ってしまうだけで、利益の80%を占める基本報酬の10%が減ってしまい、かなり厳しくなってきます。
放課後等デイサービスや児童発達支援では、定員が10名であっても利用登録は10名以上の登録が可能となっています。できれば定員よろお多めの登録人数を確保するようにするといいでしょう。
4.営業日数を多めにする
放課後等デイサービスや児童発達支援は、平日よりも休日や祝日の方が報酬は高くなります。また営業日数がすくないと、その分報酬も少なくなります。営業日数は出来るだけ減らさないようにしましょう。
具体的には、月22日~23日程度をめどに営業していくことをお勧めします。
まとめ
本日は、放課後デイサービスと児童発達支援の収支差率やについて実際の収益モデルをもとに計算しました。どちらも、しっかりと考えて経営しないと、赤字になってしまうリスクがあります。経営のことも考えつつ、しっかりと事業を運営していくことが大切です。
もっと加算のことやコスト管理を考えたいけど上手くいかない、現場のことで手がいっぱいたという方は、ぜひ当事務所への無料相談をご検討ください。
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