【2026年最新】障害福祉サービス「令和8年度臨時報酬改定」を専門家が徹底解説|就労支援の適正化と処遇改善の行方
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制度の持続可能性への危機感: 予算額が自立支援法施行時の4倍以上に膨れ上がり、質の低い事業所への「適正化(厳格化)」が加速します。
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「就労移行支援体制加算」の厳格化: A型事業所と一般企業の「出入り」を繰り返して加算を稼ぐ手法が封じられます。
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処遇改善と質の確保の両立: 従事者の賃金引上げ(ベースアップ)が進む一方で、サービス品質の低い事業所は淘汰される時代へ突入します。
1. はじめに:なぜ2026年(令和8年)に「臨時改定」が行われるのか
通常、障害福祉サービスの報酬改定は3年に1度行われます(直近は令和6年度)。しかし、厚生労働省は令和8年度に「臨時応急的な見直し」を行うことを決定しました。
その背景には、障害福祉サービス予算の爆発的な増加があります。
障害福祉サービス等に係る予算額が、障害者自立支援法の施行時から4倍以上に増加し、特に令和6年度報酬改定後において総費用額が**+12.1%**の伸びとなっている。
(引用元:厚生労働省 第52回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料1 ※資料内「基本的な考え方」より)
この急増を背景に、政府は「制度の持続可能性」を確保するため、本来の趣旨に沿わない加算算定や質の低いサービスを抑制する舵を切りました。
2. 【最重要】就労移行支援体制加算の見直しと「適正化」
今回の見直しで最も注目すべきは、就労移行支援体制加算の厳格化です。
専門用語の定義
就労移行支援体制加算とは
就労継続支援(A型・B型)等の事業所において、利用者が一般就労へ移行し、その後6か月以上継続して雇用された場合に、事業所に支払われる報酬(加算)のこと。
※定義出典:厚生労働省:障害福祉サービス等の報酬算定構造
何が問題視されているのか?
資料によると、一部の事業者において、**「同一の利用者がA型事業所と一般企業の間で複数回離転職を繰り返し、その都度加算を取得する」**という、不適切な運用が散見されています。これは「一般就労への定着」という本来の目的から逸脱した、いわゆる「加算稼ぎ」とみなされています。
【対策案】
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同一利用者による短期間の再取得を制限。
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過去の就労実績や定着状況をより厳格に評価する仕組みの導入。
3. 現場への影響:従事者の処遇改善と人材確保の裏付け
「適正化」が進む一方で、喫緊の課題である**「人材確保」**については、さらなる支援が盛り込まれています。
実践的アドバイス:なぜ今「ベースアップ」が必要なのか
障害福祉業界の有効求人倍率は他産業と比較しても極めて高く、慢性的な人手不足にあります。令和8年度の見直しでは、処遇改善加算の拡充やベースアップへの充当が議論されています。
学術的・実務的エビデンス:
厚生労働省の「障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査」によれば、給与水準と職員の定着率には明確な相関があります。質の高いケアを提供するためには、職員の心理的安全性と生活基盤の安定が不可欠です。
経営者へのアドバイス:
加算を単なる収益と捉えるのではなく、適切に賃金へ還元し「キャリアパス」を明示することが、結果的に「サービスの質の向上」を認められ、次回の改定でも有利に働く構造になっています。
4. 令和8年度見直しのメリットとデメリット
| 項目 | メリット | デメリット |
| 利用者にとって | 質の低い(囲い込み等を行う)事業所が減り、真に就労を目指せる環境が整う。 | 馴染みの事業所の運営方針が急に厳しくなる可能性がある。 |
| 健全な事業者にとって | 適切な支援を行っている事業所が正当に評価され、差別化できる。 | 事務作業や実績報告のハードルが上がり、管理コストが増大する。 |
| 社会・行政にとって | 膨れ上がる社会保障費の抑制と、制度の透明性が高まる。 | 短期的な制度変更により、現場に混乱が生じるリスクがある。 |
5. 今後の対策:事業所が今から準備すべきこと
2026年の施行に向け、事業所は以下の3点に注力すべきです。
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就労定着実績の質を高める:
単に「送り出す」だけでなく、IPSモデル(個別就労支援プログラム)などのエビデンスに基づいた定着支援を取り入れ、離職率を下げることが、加算算定の最大の防御となります。
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コンプライアンスの再徹底:
「本来の制度趣旨」に照らし合わせ、疑義を持たれるような運用がないか内部監査を実施してください。
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ICTの活用による業務効率化:
処遇改善や品質管理に伴う事務負担増に対し、システム導入による省力化を図り、直接支援の時間を確保することが重要です。
結びに代えて:質の高い福祉が生き残る時代へ
今回の臨時見直しは、障害福祉業界に対する「質の保証」を求める政府の強いメッセージです。
データや統計が示す通り、予算の増大に伴い「公金」としての透明性がこれまで以上に厳しく問われています。
今後の報酬改定への対応や、運営指導やコンサルをお探しの場合は、お役に立てますので、お問い合わせください。
参考資料・引用元:
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