【初心者向け図解あり】令和6年度(2024年度)処遇改善加算を分かりやすく解説します【障害福祉】

令和6年度(2024年度)処遇改善加算を分かりやすく解説します。
「何度読んでも複雑で分かりにくいです…」
「どう配分したら良いんですか?」
といった障害福祉事業に関わる方声にお応えして、記事を書きました。
これを読めば、処遇改善加算の概要や変更点を理解出来ます!
文字で読むのが苦手な方向けに豊富な図解を用いて、
動画もありますので、是非お役立てください。

この記事の対象者

・事務担当者
・処遇改善加算をこれから算定する障害福祉サービスの事業所
・新規に指定申請を行っている方

処遇改善加算のポイント

・福祉・介護職員の賃金を底上げするための施策です
・事業所に残さず、配分し切らないと返金処分になります
・運営指導でも必ず確認されます

youtubeの3本中1本目の動画はこちらです

 

処遇改善加算とは?~障害福祉従業者の賃金底上げ~

福祉・介護職員処遇改善加算とは、
簡単に言うと、福祉・介護の現場で働く職員の待遇を改善するための国の支援制度のことです。
この加算によって、事業者は職員の賃上げや福利厚生を充実させることができ、
結果として、職員のモチベーション向上定着率アップにつながることが期待されています。

特に障害福祉サービスは、賃金が他産業に比べ、約6万円の差があり、
福祉・介護現場における人材確保、良質なサービス提供を更に推し進めるため、
令和6年6月以降、処遇改善のための加算充実策です。
この加算は、既に約9割以上の事業所で利用されており、
この加算による介護報酬の上乗せ分は、
福祉・介護職員などの職員の処遇改善に充てられています。

処遇改善加算の概要~取得状況や要件~

約9割以上の障害福祉事業所で算定され、今後の運営において、
処遇改善加算の算定は必須です。

特定処遇改善加算とベースアップ等支援加算は、
令和6年度6月以降は、無くなりました。
これは一本化されたためですが、後述します。

主に以下の目的があります。
賃金の上昇: 基本給や各種手当のアップ
教育訓練の充実: キャリアアップのための研修制度の充実
労働環境の改善: 働きやすい職場環境づくり

賃金改善だけでなく、以下のようにキャリアや、研修に関する取組が必要です。
福祉・介護職員の処遇改善を目的とした加算を拡充し、
より多くの事業所で活用されるよう推進され、
これらの取り組みを通して、福祉・介護職員の待遇改善を図り、
人材確保サービスの質向上を目指します。

令和6年6月以降の処遇改善の賃金改善シミュレーション~放デイと就B~

まず、令和6年5月以前は、
①処遇改善加算
②特定処遇改善加算
③ベースアップ等支援加算
の3類型がありました。
これが事務を煩雑にしているとの声が多く、
新処遇改善加算として一本化されました。
以下は放デイと就Bのシミュレーションです。

他のサービスの加算率等はこちらの厚生労働省のページでご確認下さい。

処遇改善加算の対象のサービス~相談支援や移動支援は対象外です~

処遇改善加算の対象のサービスは、以下の通りです。

居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護
重度障害者等包括支援・生活介護・施設入所支援・短期入所・療養介護
自立訓練(機能訓練、生活訓練)
就労選択支援・就労移行支援
就労継続支援A型・就労継続支援B型・就労定着支援
自立生活援助・共同生活援助(介護サービス、日中サービス支援型、外部サービス利用型)
児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービス
居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援
福祉型障害児入所施設・医療型障害児入所施設
障害者支援施設(生活介護、自立訓練、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援A型、B型)

  

残念ながら、相談支援事業(障害児相談支援、地域相談支援、計画相談支援)は対象外です。
また、地域生活支援事業である移動支援も対象外です。
港区など一部の自治体では、特別に移動支援従事者向けの処遇改善加算を創設しているので、
詳しくは自治体に問い合わせて下さい。

対象となる職員~役員の方は要注意です~

基本的に、事業所で働く方であれば、対象です。

「~具体的には、福祉・介護職員のうち資格を有する者、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者、その他研修等により専門的な技能を有すると認められる職員~」

旧・処遇改善加算では、対象ではなかった、
サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者が
配分を認められることとなりました。

「事業者の判断で福祉・介護職員以外の職種への配分も含め、柔軟な配分を認める」

スケジュール例

①就業規則・給与規定等の整備
→必要であれば社労士など専門家へ依頼

②処遇改善計画書等の作成と提出
→指定権者やコールセンターに問い合わせ可能です

③計画の実行と請求
→「配り切る」ことを念頭に計画的に配分しましょう
給与の支払いの証明書などの記録も必要です

~翌年の7月~

④実績報告書等の作成・提出
→配分した実績に基づいて報告書を提出します

処遇改善加算の一本化とは?

福祉・介護職員等処遇改善加算
福祉・介護職員等特定処遇改善加算
福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算
という既存の3つの加算が、2024年度に福祉・介護職員処遇改善加算に一本化され、
さらに4段階の区分に再編されました。

変更前と比較すると、
約1.7%の上昇率となり、
障害福祉サービス従事者の賃金改善が図られています。

 

3つの要件とは?~キャリアパス、月額賃金改善、職場環境~

加算と名前が付くものには、必ず要件があります。
処遇改善には3つの要件があり、
これらの要件を満たしていない場合、
返金処分のおそれがあります。
令和6年度中は経過措置もあるため、どの要件を満たさなければならないのか
よくご確認下さい。

キャリアパス要件Ⅰ(任用要件・賃金体系)
→福祉・介護職員について、職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件を定め、
それらに応じた賃金体系を整備する。

キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
→福祉・介護職員の資質向上の目標や以下のいずれかに関する具体的な計画を策定し、
当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保する。
a 研修機会の提供又は技術指導等の実施、福祉・介護職員の能力評価
b 資格取得のための支援(勤務シフトの調整、休暇の付与、費用の援助等)

キャリアパス要件Ⅲ(昇給の仕組み)
→福祉・介護職員について以下のいずれかの仕組みを整備する。
a 経験に応じて昇給する仕組み
b 資格等に応じて昇給する仕組み
c 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

キャリアパス要件Ⅳ(改善後の賃金額)
→経験・技能のある障害福祉人材のうち1人以上は、賃金改善後の賃金額が
年額440万円以上であること。小規模事業所等で加算額全体が少額である場合などは、
適用が免除されます。

キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置)
→福祉・専門職員配置等加算等の届出を行っていること。

月額賃金改善要件Ⅰ
→新加算Ⅳ相当の加算額の2分の1以上を、
月給(基本給又は決まって毎月支払われる手当)の改善に充てる。

現在、加算による賃金改善の多くを一時金で行っている場合は、
一時金の一部を基本給・毎月の手当に付け替える対応が必要になる場合があります。
(賃金総額は一定のままで可)


月額賃金改善要件Ⅱ
→前年度と比較して、現行のベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の
新たな基本給等の改善(月給の引上げ)を行う。  

新加算Ⅰ~Ⅳへの移行に伴い、現行ベア加算相当が新たに増える場合、
新たに増えた加算額の3分の2以上、基本給・毎月の手当の新たな引上げを行う必要があります。

職場環境等要件Ⅰ
→6の区分ごとにそれぞれ2つ以上(生産性向上は3つ以上、うち一部は必須)取り組む。
情報公表システム等で実施した取組の内容について具体的に公表する。

職場環境等要件Ⅱ
6の区分ごとにそれぞれ1つ以上(生産性向上は2つ以上)取り組む。

職場環境等要件の一覧は以下をご参照ください。

もしも専門家に丸投げして分からない時は…?

障害福祉サービス事業者様の中には、
・専門家に丸投げしてしまっている
・担当者が急に退職した
といったケースがあるかもしれません。
計画書と実績報告書から以下の部分を確認して下さい。

処遇改善加算の処分事例

障害福祉サービス事業者の皆様は、日々適切な運営を心掛けていると思われますが、
処遇改善加算は、返金処分になることも多々あります。
また、虚偽の書類提出を行った場合、更に重大な処分が下ります。

運営指導(実地指導)でのチェックされるポイント

・処遇改善計画書
・実績報告書
・根拠資料
の3点が確認資料です。

2年間の保存義務があり、
運営指導(実地指導)の際に、
説明出来るようにしておきましょう。

根拠資料の詳細は以下です。

・賃金台帳
給与の総支給額(基本給・手当等)から個人負担分の社会保険料等の控除項目を差し引き、
給与の差引支給額が計算されているもの
・給与規程および給与表
(非常勤職員の雇用契約書等を含む)
基準年度の職員給与(基本給・手当等)の計算・支払方法などが規定されているもの
・銀行振込依頼書(明細書含む)
※各職員に対する支給の事実が確認できる資料
実際に職員へ給与を振り込んだ結果が記載されている外部証憑
・加算対象職員に係る発令書等
加算対象に相当する職位の発令や職務命令があったことが分かるもの
・研修の記録等
キャリアパスや職場環境要件に応じた証拠書類、職員への説明資料と周知した記録

指導監査における指摘事項

・事業所の全ての従業者に対し、従業者ごとの研修計画が未作成、研修を実施していない。
研修の実施記録だけでなく、研修計画も求められます。
・ 福祉・介護職員処遇改善計画書について、全ての福祉・介護職員に周知をしていない。
計画書は公表と周知が必要です。議事録に周知の結果の文言
を残しましょう。
・処遇改善加算相当額を適切に配分するための賃金改善に関する規程が明確でない。
給与規定等を整備出来ていない場合は、早めに行いましょう。
・処遇改善加算を原資に賃金改善を行う場合は、その対象となる職員を直接処遇職員としていない。
直接支援業務に従事していない役員など対象外の職員に
処遇改善を払っていないか確認しましょう。

指導監査で必ず聞かれるポイント

以下のポイントは必ず聞かれます。
回答出来る方と資料を用意しておきましょう。

実績報告について

・実績報告において賃金改善額が新加算等の加算額を下回った場合は?
賞与等の一時金として介護職員等に追加的に配分することで、返金の対象となりません。

・事業悪化等により、賃金水準を引き下げることは可能か
特別事情届出書を提出する合理的な理由に
基づき適切に労使の合意を得る必要があります。
(不利益変更に留意する)

不明な点は、指定権者やコールセンターに問い合わせることも出来ますので、
自治体コールセンターをご活用ください。

令和6年度(2024年度)処遇改善加算について解説しました。
弊事務所への依頼も受け付けておりますので、
まずはお気軽にご連絡ください。

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